雨上がりの景色を夢見て
「あっ、もう来てたみたい、大和田さーん」

ハンカチで目を抑え、心を落ち着かせていると、貴史のお母さんを呼ぶ声が聞こえた。

この声を、私は聞いたことがある。

ハンカチを外して、近づいてくる人物を確認した瞬間、私の思考が停止した。

なんで…。
どうして…。

同じく、近づいてきた女性と、後ろからお花や荷物を持って歩いてきた男性も、私を見て目を見開いた。

「「えっ?」」

そして、2人の驚いた声が揃った。

不思議そうに、私と今来た2人の人物を交互に見る修二くん。

貴史のお母さんも、私たちの反応に不思議そうな表情を見せた。

「夏奈さん、高梨先生…」

「雛ちゃん…」

お互い、そう言うのがやっとで、いつもグイグイくる夏奈さんも、固まったまま動かなかった。

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