雨上がりの景色を夢見て
「…それは、そうなんだけど…。俺だって考える事色々あるんだよ」

これ以上問い詰めないでくれ、と言わんばかりの表情に、私はそれ以上詮索するのはやめた。

ただ、一言最後に言った。

「私のことを理由にするの、なしよ」

その言葉に、夏樹はものすごく困ったような表情をした。

悩めばいい。悩んで、悩んで、夏樹にはちゃんと自分の人生を優先して欲しい。

夏樹の表情に、私の事と天秤にかけるほど、雛ちゃんの存在が大きくなっていることを感じ、内心ほっとした。

「…考えとく。ごちそうさま」

あっという間に食べ終わり、夏樹は片付けをして出かける準備を始めた。

「そうそう、今日は雛ちゃんとお買い物にでも行ってくるわ」

「それ、中川先生に言ってある?」

車の鍵をポケットに入れて、私を見る夏樹。

「まだ、さっき天気見て決めたの」

「夏奈の決断力羨ましいよ」

呆れた口調でそう言うと、夏樹はスポーツバックを肩にかけて出かけていった。

「…夏樹にもあるのに」

決断力。

そう思いながら、ゆっくりと朝ごはんを味わって食べた。





< 148 / 538 >

この作品をシェア

pagetop