雨上がりの景色を夢見て
「雛ちゃんにはそう見えてるのね。双子の私からしたら、もうちょっとビシッとしなさいよって言いたくなっちゃう事もあるんだけど、まぁ、夏樹の優しさなのかしら」

夏奈さんはふふっと笑うと、コップに入った麦茶を飲んだ。

「あっ、そうそう、今日の午前中、お買い物付き合ってほしいの。明日仕事だし、ランチまで一緒に食べたら、そのまま家まで送るわ」

突然の夏奈さんの提案に驚いたけれど、このまま1人で家にいると考え込んでしまうと思い、夏奈さんの誘いを受けることにした。











「できた」

夏奈さんの声で、落としていた視線を上げる。

鏡に映る自分に驚いて、言葉が出ない。

ハーフアップのヘアスタイルだけど、太めの編み込みになっていたり、おろしてある部分はコテで華やかに巻かれている。編み込みのところにはパールの飾りや小さな蝶の飾りが程よくついていた。

こんな短時間で、こんなに素敵なヘアアレンジができる夏奈さんがすごいと思う。

「雛ちゃん、元がいいから映えるわ」

満足そうに微笑んで、私の両肩にそっと手を置いた。

「せっかく素敵なんだから、写真撮らせてね」

「…はい」

私の返事に、すぐにスマホを取り出して、写真撮影を始める。

「雛ちゃん、ちょっとだけでもいいから微笑んでみて？」

うまく笑えていない、と思いながら夏奈さんに笑顔を向ける。

カシャッという音がして数回響き、スマホをしまった夏奈さん。


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