雨上がりの景色を夢見て
高梨先生の敬語がとれた時の、オフモードでの距離感がまだよく分からない。

仕事の時よりは、距離は近いけれど、妹みたいだとしても、夏奈さんのように近すぎる距離ではない。

自分では理由は分からないけれど、むしろ、近づき過ぎてはいけないような気がしている。

でも、それは、私自身が他の人とも、あまり近い距離の人間関係を築いてこなかったからそう勝手に思い込んでいるだけなのかもしれない。

あっ、ケーキ、取りに行こう。

そう思い、車を走らせた。









「こちらでよろしいですか？」

ケーキを取りに行くと、箱の中身の確認があった。ひち足早くケーキを見た私は、これは絶対に菜子が大喜びすると確信が持てた。

「素敵…」

心の声が、思わず口から出ていて、店員さんはにっこり笑って綺麗にラッピングをしてくれた。

受け取って実家に着くと、元気いっぱいの菜子が私を出迎え、私の腰にしがみついてきた。

「菜子、お誕生日おめでとう」

先に、用意していた紙袋に入ったプレゼントを渡す。

「雛ちゃん、ありがとう！」

嬉しそうに飛び跳ねて、母の元へ戻っていく菜子の姿に、来てよかったと思えた。



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