雨上がりの景色を夢見て
検査から10日後、今日は私の検査結果が出る日。
検査の日も色々なことを考えすぎて、不安になったけれど、それ以上に結果を聞く今日の方が怖い。
病院の待合室で、隣に座る夏樹を見る。何も言わずに、体幹トレーニングの本を読んでいた。
私は、カバンから雛ちゃんがくれたという魔法の飴を取り出し、口に入れた。今日の日のために食べずにとっておいたのだ。
口の中に、甘酸っぱさが広がる。
「夏樹、この飴美味しいわ」
「ん、なら良かった」
ちらっと私を見て、ニコッと笑い、すぐに本に視線を向ける。
「そういえば、母さんからメール来てた。結果聞いたら、連絡くれってさ」
「うん、連絡しとく」
私達が大学に入学してすぐに、母は海外にいる父の元へ行った。もう海外が拠点になるから、と家は売りに出し、私と夏樹の住むマンションの契約手続きが済むと、すぐに日本を離れた。
そんな母は、私の病気が発覚すると、すぐに帰国し、私が元気になるまでずっと身の回りのことをしてくれた。
1度目の治療がひと段落し、退院した時、母に海外で一緒に住もう、と誘われた。もし何かあった時にそばにいた方が安心だから、と。
だけど、私は断った。せっかく母は、ずっと離れ離れだった父と水いらずで過ごせるのに、そこで私は重荷になりたくなかったのだ。
検査の日も色々なことを考えすぎて、不安になったけれど、それ以上に結果を聞く今日の方が怖い。
病院の待合室で、隣に座る夏樹を見る。何も言わずに、体幹トレーニングの本を読んでいた。
私は、カバンから雛ちゃんがくれたという魔法の飴を取り出し、口に入れた。今日の日のために食べずにとっておいたのだ。
口の中に、甘酸っぱさが広がる。
「夏樹、この飴美味しいわ」
「ん、なら良かった」
ちらっと私を見て、ニコッと笑い、すぐに本に視線を向ける。
「そういえば、母さんからメール来てた。結果聞いたら、連絡くれってさ」
「うん、連絡しとく」
私達が大学に入学してすぐに、母は海外にいる父の元へ行った。もう海外が拠点になるから、と家は売りに出し、私と夏樹の住むマンションの契約手続きが済むと、すぐに日本を離れた。
そんな母は、私の病気が発覚すると、すぐに帰国し、私が元気になるまでずっと身の回りのことをしてくれた。
1度目の治療がひと段落し、退院した時、母に海外で一緒に住もう、と誘われた。もし何かあった時にそばにいた方が安心だから、と。
だけど、私は断った。せっかく母は、ずっと離れ離れだった父と水いらずで過ごせるのに、そこで私は重荷になりたくなかったのだ。