雨上がりの景色を夢見て
時間に余裕を持って、15時半過ぎには家を出る。

早めに出てよかった…。

少し道に迷い、約束の時間の5分前にお店の前に着いた。

ブブッ

メールの着信を知らせる振動が鳴り、お店に入る前に確認した。

えっ…

『雛ちゃん、ごめんなさい!行けなくなったので、代打お願いしました。』

夏奈さんからのメールの内容に、私は一瞬固まった。

代打…?
まさか…

私はピンときて、動揺しながらも、ゆっくりとお店の扉を開けた。

「いらっしゃいませ」

上品な店内に招かれて、夏奈さんの名前を伝える。

「あちらでお連れ様がお待ちです」

1番奥のテーブルに案内される。近づくと、男性の後ろ姿が目に入った。

やっぱり…。

「お連れ様がいらっしゃいました」

ホールスタッフの言葉に、後ろを振り向いたのは予想していた通り高梨先生だった。

私を見て、あきらかに驚いた様子の高梨先生。

「中川先生…。あれ?夏奈は…?」

何も連絡を貰っていないという事がすぐに分かった私は、席に座って、今日来れないことを伝えた。



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