雨上がりの景色を夢見て
「一応温かい飲み物もまだ作れるわよ?」

なんとなく、しばらくはどちらでも飲めるように、生徒用に緑茶やほうじ茶、その他様々な種類のティーパックもまだ用意している。どのみち、私自身が仕事中に飲むコーヒーを入れるためのポットが必要なのだ。

「今日は冷たい方がいい。てか、いつも不思議なんですけど、そこのコーナーすごい充実してますよね?先生が選んでるんですか?」

「うんうん、私も思ってた。ハーブティーもあるし、カフェにいる気分になる」

一口麦茶を飲むと、近藤さんの言葉に清水さんも頷きながら続けた。

「そうよ。みんな朝から夕方まで、学校で頑張ってるじゃない?ちょっとした息抜きになれば、と思ってね。でも、半分は私の趣味のようなものよ」

私自身、色々な種類のお茶や紅茶、コーヒーが好きで、気分によって飲み分けている。家のキッチン横のスペースはちょっとしたカフェコーナーのようになっていて、癒しの空間だ。

「先生、やっぱりセンスいい」

「ありがとう」

褒めてくれた清水さんにお礼を言って、私は机の上から空になった自分のマグカップを手に取った。

「そういえば、3時限目の英語の小テスト、いつもより難しくなかった?」

「あっ、千世もそう思ったんだ?私半分取れた気しない」

いつものように、2人の何気ない会話が始まったのを確認し、私は花柄のマグカップに自分用のコーヒーを注いだ。コーヒーのフワッとした香りが鼻の奥まで届き、ちょっとだけ元気が出る。

元気がないわけではないけれど、今日の分の仕事が終わるまでもう少しかかりそうで、そこまで踏ん張る気持ちが、この一杯のコーヒーのおかげで湧いてくる。





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