雨上がりの景色を夢見て
side 高梨兄妹
ケーキ屋さんに入って行く雛ちゃんの後ろ姿を見て、昨日のことがまだ夢のようだと思った。
昨日の朝、前日の夜に大喧嘩をしていたから、夏奈は絶対に口を聞いてくれないと思っていた。
けれど、俺の予想は外れて、朝ご飯の準備をしていた夏奈が、
『…夜にイタリアン食べに行きましょう。現地集合ね。ワインも美味しい所よ』
と、まだ怒っている雰囲気があるものの、そう言って、俺の分のワンプレートの朝ごはんを持ってきてくれた。
『…ありがとう。夏奈、昨日は…『私、今日は出勤の日だから、出かける時戸締りよろしくね』
俺の言葉を遮られ、すっかり謝るタイミングを逃してしまった。でも、夜にまた謝ろうと思い直し、朝ごはんを食べ始めた。
そして、夜、夏奈ではなく、雛ちゃんが来た事に驚いた後、朝俺に謝らせなかったのは、これを仕組んでいたからだと理解した。
夏奈は、俺と雛ちゃんをくっつけたがっていた。俺の気持ちを夏奈は知っていたはず。でも雛ちゃんの気持ちには気づいていたのか?
今思えば、夏奈のかなり強引な計らいだったと思う。
本当は、美味しくご飯を食べて、何事もなく、ただの同僚として帰るつもりだった。
けれど、俺の何気ない言葉に、〝ずるい〟と言ったあの表情を見て、胸がざわつき始めたんだ。
少し恥ずかしそうにほんのり赤く染まった頬。気の強さが表れた目力。けれど、力強い瞳で見つめられた瞬間、俺の理性が掻き乱された。
正直、あの表情は反則だと思う。
平然を装っていたけれど、内心どこか落ち着かなかった。
昨日の朝、前日の夜に大喧嘩をしていたから、夏奈は絶対に口を聞いてくれないと思っていた。
けれど、俺の予想は外れて、朝ご飯の準備をしていた夏奈が、
『…夜にイタリアン食べに行きましょう。現地集合ね。ワインも美味しい所よ』
と、まだ怒っている雰囲気があるものの、そう言って、俺の分のワンプレートの朝ごはんを持ってきてくれた。
『…ありがとう。夏奈、昨日は…『私、今日は出勤の日だから、出かける時戸締りよろしくね』
俺の言葉を遮られ、すっかり謝るタイミングを逃してしまった。でも、夜にまた謝ろうと思い直し、朝ごはんを食べ始めた。
そして、夜、夏奈ではなく、雛ちゃんが来た事に驚いた後、朝俺に謝らせなかったのは、これを仕組んでいたからだと理解した。
夏奈は、俺と雛ちゃんをくっつけたがっていた。俺の気持ちを夏奈は知っていたはず。でも雛ちゃんの気持ちには気づいていたのか?
今思えば、夏奈のかなり強引な計らいだったと思う。
本当は、美味しくご飯を食べて、何事もなく、ただの同僚として帰るつもりだった。
けれど、俺の何気ない言葉に、〝ずるい〟と言ったあの表情を見て、胸がざわつき始めたんだ。
少し恥ずかしそうにほんのり赤く染まった頬。気の強さが表れた目力。けれど、力強い瞳で見つめられた瞬間、俺の理性が掻き乱された。
正直、あの表情は反則だと思う。
平然を装っていたけれど、内心どこか落ち着かなかった。