雨上がりの景色を夢見て
しばらくすると、インターホンがなり、高梨先生がモニターを確認する。

「寿司屋さんだ」

玄関でやり取りをして戻ってきた高梨先生の手には、高そうな入れ物が3つ入った袋が握り締められていた。

「もうすぐ、夏奈も帰ってくる頃だから、そしたら食べよう。ここのお寿司美味しいんだ」

テーブルの上を片付けて、お寿司の入った丸い入れ物を置いていく。

醤油用の小皿を高梨先生から受け取り、並べた。

「ただいまー。あっ、お寿司届いてたのね」

スッキリとした表情で帰ってきた夏奈さんは、嬉しそうにお寿司を見る。

「夏奈さん、おかえりなさい」

「ただいま。雛ちゃんがいると、家の中が華やかになるわ」

夏奈さんの言葉に、素直に嬉しい気持ちになる。

「マッサージ気持ちよかったから、雛ちゃんも今度一緒に行きましょう」

あっ…

誘いは嬉しいけれど、肩の傷のことが頭を過り、答えに躊躇してしまう。

そんな私の様子に、

「ハンドマッサージや脚のマッサージーもあるのよ」

と、さりげなく言葉を付け加えてくれた夏奈さん。夏奈さんの言葉を聞いて内心ほっとした。

「はい。最近脚が疲れやすいので、ぜひ一緒に行きたいです」

私の言葉に、夏奈さんも笑顔になり、キッチンで飲み物を準備している高梨先生のもとへ行った。






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