雨上がりの景色を夢見て
3人揃ってテーブルを囲み、みんなで美味しいお寿司を食べる。私は麦茶を、夏奈さんと高梨先生はノンアルコールのビールを飲む。

「高梨先生、飲まないんですか?」

「うん、お昼だからね」

高梨先生の言葉を聞いて、正直、お誕生日のお祝いだし、本来なら飲みたいんじゃないかな、と思った。

もしかして…

「私、電車で帰るので、遠慮なさらず飲んでください」

「…いや、大丈夫、気にしないで」

図星だったらしく、少し間があり、高梨先生はノンアルコールビールを飲んだ。

「でも…今日の主役ですよ…?」

「夏樹、雛ちゃんと一緒にいたいのよ」

私と高梨先生のやり取りを聞いていた夏奈さんは、さらっとそう言って、いくらの軍艦巻きを一口で頬張る。

えっ…

「…そういうこと言わなくていいから」

夏奈さんの言葉に照れる高梨先生。そして、ちらっと私の方を見て、恥ずかしそうに笑った。

気持ちは素直に嬉しい。だけど、私のことで高梨先生が、お酒飲むことをひかえるのはちょっと嫌だった。

「じゃあ…先生が、飲んでも、飲まなくても私は電車で帰ります」

「「えっ」」

私の言葉に、高梨先生と夏奈さんの反応が被る。ちょっと強引すぎたかな、と思いながらも、私は言葉を続ける。

「…そしたら、飲んでくれますよね…?」














< 226 / 538 >

この作品をシェア

pagetop