雨上がりの景色を夢見て
「…わかった。雛ちゃんの気持ちを受け取って、今日は飲ませてもらうよ」

少し考えて、高梨先生は、根負けしたような表情でそう言って立ち上がると、冷蔵庫からいつも飲んでいる缶ビールを出した。

席に着き、プシュッという音を立てて缶を開ける。

「じゃあ、あらためて、乾杯」

ちょっと照れくさそうにそう言うと、高梨先生は美味しそうにビールを飲んだ。

その姿に、やっぱり飲みたかったんだな、と思い、ほっとした。

「…意外と雛ちゃん、やるわね」

夏奈さんは意外そうにそう言って、今度はマグロを頬張る。そんな夏奈さんに、私は少し恥ずかしさの混じった笑顔を向けて、サーモンを口に運んだ。











「ケーキ、私まだ中見てないのよ。楽しみにしておきたくて」

お寿司を食べ終わり、ケーキの箱をテーブルの真ん中に置いた夏奈さん。高梨先生も、嬉しそうに座った。

夏奈さんがゆっくりと箱を開ける。

「…わぁ…素敵なケーキね」

夏奈さんの言葉に、このケーキを選んでよかったと思えた。高梨先生も、感心してケーキを見る。

「私達はいつも、イチゴのホールケーキを買ってたから、雛ちゃんが、こんなに素敵なケーキ選んでくれて嬉しいわ」

「喜んでもらえて嬉しいです。夏奈さん、高梨先生、お誕生日おめでとうございます」

「ありがとう、雛ちゃん」

「ありがとう」

2人の素敵な笑顔と、こんな素敵なケーキでお誕生日をお祝いできて、同じ時間を過ぎせて、私はとても幸せだと感じた。







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