雨上がりの景色を夢見て
side 高梨兄妹
雛ちゃんを見送った後、何となくベランダに出て、雛ちゃんの後ろ姿を見届ける。
「夏樹、たった今、見送ったばかりじゃないの」
呆れた様子で、開けたベランダの窓から顔を出した夏奈。
「…いや、心配で」
「どんだけ過保護よ」
そう言いながらも、夏奈もサンダルを履いてベランダに出てきた。
車で送っていくつもりだったのは、夏奈が言ったように少しでも長い時間一緒にいたいと思ったのもあるけれど、単純に電車で帰すのが心配だった。
夏休み中だから、普段この辺に居ない若者が帰ってきて、少し羽目を外していることを耳にしていたから。
雛ちゃんほど見た目がよければ、面白半分できっと声をかけてくる人もいると思った。
あっ…
「ちょっと、雛ちゃん男の人に声かけられて……あれ?知り合いかしら」
俺が気がついたのと同時に、隣の夏奈も気がつき、前のめりになって様子を伺う。
視力はいい方だから、雛ちゃんと男性の表情まで読み取れた。
あの男の人どこかで…
あっ
「…修二くんだ」
「えっ?修二くんって、一緒にお墓参りに来てた?」
どうしてここに…?
修二くんの服装を確認すると、明らかに仕事帰りの様子だった。
この辺りで働いているのか…?
少しずつ遠ざかっていく2人のシルエットに、胸の中がざわつく。
「夏樹、たった今、見送ったばかりじゃないの」
呆れた様子で、開けたベランダの窓から顔を出した夏奈。
「…いや、心配で」
「どんだけ過保護よ」
そう言いながらも、夏奈もサンダルを履いてベランダに出てきた。
車で送っていくつもりだったのは、夏奈が言ったように少しでも長い時間一緒にいたいと思ったのもあるけれど、単純に電車で帰すのが心配だった。
夏休み中だから、普段この辺に居ない若者が帰ってきて、少し羽目を外していることを耳にしていたから。
雛ちゃんほど見た目がよければ、面白半分できっと声をかけてくる人もいると思った。
あっ…
「ちょっと、雛ちゃん男の人に声かけられて……あれ?知り合いかしら」
俺が気がついたのと同時に、隣の夏奈も気がつき、前のめりになって様子を伺う。
視力はいい方だから、雛ちゃんと男性の表情まで読み取れた。
あの男の人どこかで…
あっ
「…修二くんだ」
「えっ?修二くんって、一緒にお墓参りに来てた?」
どうしてここに…?
修二くんの服装を確認すると、明らかに仕事帰りの様子だった。
この辺りで働いているのか…?
少しずつ遠ざかっていく2人のシルエットに、胸の中がざわつく。