雨上がりの景色を夢見て
「私が出かけてる間は、何か進展あった?」

「…好きだな、そういう話」

私の言葉に、面倒臭そうな表情をする夏樹。

「だって、気になるじゃない。あんなに女の子に苦労したことのない夏樹が、こんなに慎重になってるんだもの」

接し方を見ていても、全然違うからこそ、少し興味が湧く。

「…あっ、夏奈のミスコンの写真見て、感動してた。綺麗だって」

なるほど、私の留守の間、アルバム見てたのね。

「あら嬉しいわ」

そう言いながら、ふと、前に送った雛ちゃんの写真のことを思い出した。すっかり感想聞くの忘れてたわ。

「6月に送った雛ちゃんの写真も綺麗だったでしょ?」

「6月…?あー…それは、まあ、そうだな」

曖昧に答える夏樹に、私は自分のスマホから雛ちゃんの写真を見つけ、夏樹の目の前に持っていく。

恥ずかしそうに目を逸らして、ワインを飲む夏樹を見て、私はすぐに質問した。

「綺麗でしょ?」

私の質問に、真っ赤な顔を隠すように、手で顔を覆って肘をテーブルにつく夏樹。

「…夏奈、勘弁して…」

「もう…、夏樹、昔はもっと、さらっと女の子が喜ぶワード言ってたじゃない」

「昔は昔、今は今。久しぶりすぎて、ちょっと戸惑ってる部分もある…」

夏樹はそう言って、空いたグラスに白ワインを注いだ。





< 233 / 538 >

この作品をシェア

pagetop