雨上がりの景色を夢見て
そして、高梨先生の容姿を思い浮かべて、心の中で小さくため息を吐く。

高梨先生は男の俺から見てもイケメンだ。身長も俺より10センチほど高く、筋肉も程よくついていて見た目もいい。大きめな目に鼻立ちがくっきりしていて、いい歳の取り方をしている。

そして、短時間で感じ取れた、あの包み込むような大人の余裕。どこから見ても完璧な男性にしか見えない。

ちょっと、貴史くんに似てるんだよな、雰囲気。

そう思いながら、隣を歩く雛さんを見る。歩くたびに揺れるポニーテールが、女性らしさを強調する。

今日の雛さん、めちゃくちゃ可愛いくないか?

「髪型、似合いますね…って、え?」

無意識に出た言葉に、俺自身がかなり動揺する。

そんな様子の俺を見て、雛さんの足が止まる。

「…からかってる?…恥ずかしくなるから、そういうこと言わないで」

ほんのり赤く染まった頬に、胸がドクンっと高鳴る。

俺は、この表情を知っている。だけど、今までこの表情を向けられていたのは貴史くん。だけど、今は、俺に向けられたもの。無意識なんだろうけど。

もっと見たい。

そう欲張ってしまいそうになる感情を仕舞い込んで、俺は悪戯っぽい笑顔で、

「バレました?」

と言った。


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