雨上がりの景色を夢見て
招待券を渡して、すぐに帰るのも気がひけるのは事実だった。

だけど、ただの後輩だからという理由で、男性と2人でご飯を食べに行くことは、高梨先生に失礼な気がする。

「…相談してみようかな」

もし、これが反対の立場だったらどうだろう。

高梨先生が、ただの後輩だという女性と、ご飯を食べに行くと知ったら、私はどんな気持ちになる?

想像すると、モヤモヤした気持ちが湧き上がってくる。

やっぱり、わざわざ約束して会うのはやめよう…。

そう思い、スマホを手に持った時、修二くんからもう1通のメッセージが届いた。

メッセージを読んだ私の身体が固まる。そして、思考も止まった。

『渡したいものがあります。









貴史くんからの










手紙』







どうして、そんなものを修二くんが持ってるの?

どのくらいの時間が流れたのか分からないけれど、まだ頭が混乱している中、私はメッセージを送信した。

『わかったわ』

貴史が、私に手紙を書くような時期でもなかった。何のために?そして、どうしてそれを修二くんが?いつから持っていたの?

急に色々な疑問が湧き上がってくる。

私はアイスコーヒーを飲み、一度、心を落ち着かせる。

高梨先生には、どこまで話せばいいんだろう。手紙の事も、全部…?









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