雨上がりの景色を夢見て
貴史がいなくなってから、私達は、全く話をしなくなった。まして、春休みはすでに大学への準備をしていたし、修二くんは私の連絡先も、家も知らなかったのだから、無理もない。
「ずっと、しまってたんです。本当は、前に約束して会った時に、渡せばよかったんです。だけど…俺自身が怖かった」
「…貴史を近くに感じるから…?」
私の言葉に、驚いた修二くん。図星だったらしく頷き、言葉を続けた。
「まだお墓参りに行けてなかったから…現実と向き合う覚悟が出来ていなかったから、手に取ることすら躊躇したんです…」
俯く修二くんの言葉は、私の心に刺さる。それは、私もちゃんと向き合えていなかった事だから…。
「…その気持ち…分かるわ」
「…優しいですね」
「慰めじゃないわ…。私も同じだから…」
私達の間に、しばらく沈黙が続く。お互い何と声をかけていいのか分からない。
「お待たせいたしました」
沈黙を破ったのは、料理を運んできた店員さんの通る声だった。
テーブルに置かれた料理から、いい匂いがしてきて、私達はお互いの顔を見合わせる。
「…とりあえず、食べます?」
「…そうね」
私は、貴史の手紙をカバンの中に大切にしまった。
「ずっと、しまってたんです。本当は、前に約束して会った時に、渡せばよかったんです。だけど…俺自身が怖かった」
「…貴史を近くに感じるから…?」
私の言葉に、驚いた修二くん。図星だったらしく頷き、言葉を続けた。
「まだお墓参りに行けてなかったから…現実と向き合う覚悟が出来ていなかったから、手に取ることすら躊躇したんです…」
俯く修二くんの言葉は、私の心に刺さる。それは、私もちゃんと向き合えていなかった事だから…。
「…その気持ち…分かるわ」
「…優しいですね」
「慰めじゃないわ…。私も同じだから…」
私達の間に、しばらく沈黙が続く。お互い何と声をかけていいのか分からない。
「お待たせいたしました」
沈黙を破ったのは、料理を運んできた店員さんの通る声だった。
テーブルに置かれた料理から、いい匂いがしてきて、私達はお互いの顔を見合わせる。
「…とりあえず、食べます?」
「…そうね」
私は、貴史の手紙をカバンの中に大切にしまった。