雨上がりの景色を夢見て
「今日はありがとうございました」

「私の方こそありがとう」

お店を出て、修二くんは駅へ、私は駐車場へとそれぞれ背中を向けて歩き出す。

「雛さん」

後ろから呼び止められて、振り向いた。

「俺、あの手紙渡せてほっとしました」

修二くんは少し涙目になっていて、そんな修二くんに、私は無意識のうちに微笑みかけていた。

「ならよかった。ありがとう」

すぐに、修二くんに背中を向けて、再び歩き始めた。










家に帰り、ソファーに深く腰をかける。カバンの中から水色の封筒を取り出し、貴史の書いた私の名前を見つめた。

どんなことが書いてあるのか、すごく気になるけれど、少し怖い部分もある。

見てしまったら、高梨先生との関係が変わってしまうのではないかと不安になる。

〝待ってる〟

そう言った高梨先生の声と表情を思い出す。私はゆっくりと、封筒に封をしてあるシールを剥がした。

中にはクリーム色の便箋が1枚入っていて、そっと取り出す。

ドクンッドクンッと大きく鼓動している音が耳に響き、緊張感を増す。

一度、深呼吸をして、便箋を開いた。
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