雨上がりの景色を夢見て
『雛へ

この手紙、渡せてるっていうことは、俺、県大会優勝できたのかな。

ある意味、自分への願掛け。

自分の納得する成績を残せたら、雛に俺の気持ち全部伝えたかったから。

雛、

大好きだよ。

隣で嬉しそうに笑う雛も、
恥ずかしそうに笑う雛も、
悩んでる雛も

全部好き。

この先も、ずっと隣にいて欲しい。

だけど、もし、もしも、俺の中では0.1%もないけれど、

まだ先の長い俺達が離れる事になったとしても、

雛の安心できる場所が、ちゃんとそこにあるならば、俺は幸せだよ。

雛の幸せは、俺の幸せそのものだから。

雛、いつもありがとう。

これからも、雛の幸せな姿、たくさん見せてね。

大和田貴史より』











「…っ…」

私の頬を、涙が伝う。

あの頃の貴史の心の中に触れたような感覚だった。

貴史…

0.1%もない現実になっちゃったじゃない…。

「…っ…馬…っ鹿…」

そのことが切なくて、苦しくて、私の口から嗚咽の混じった声が漏れる。

もう1度、触れたい。もう1度だけでいい、あなたの声が聞きたい…。

叶うことのない願いを、私は何度も願いながら声を出して泣いた。


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