雨上がりの景色を夢見て
腕の中の居心地の良さに、私の気持ちが温かくなっていく。

たくさん泣いた後で、ひどく腫れた目だけど、そんなこと気にしないくらい、この腕に包まれていたいという感情が溢れ出す。

「…私は、貴史のことが今でも好きです」

「うん、知ってるよ…」

「だけど…、今、私が居たい場所は、ここです」

そう言って、高梨先生の腰に腕を回す。ぎゅっと力を込めて、高梨先生の胸に顔を埋めた。

私の安心できる場所は、ここだから…。

私を包み込む高梨先生の腕にも力が入り、私をさらに抱きしめる。

「…ありがとう」

頭の上から囁かれた言葉に、顔を埋めたまま頷いた。

高梨先生の腕の力が抜けて、そっと私の身体を少しだけ離す。高梨先生の温かい手が私の頬に触れる。

「…今、目が腫れて…「かわいいよ」

優しく微笑む高梨先生と視線が交わり、私の胸が大きく高鳴る。

顎に添えられた手の親指が、私の唇をそっとなぞり、初めての感覚に、恥ずかしさで顔が一気に熱を帯びる。

「…その顔…反則」

困った表情でそう言うと、さらに、高梨先生の人差し指が私の唇をなぞる。

「…ふっ……」

無意識に声が漏れ、私自身が驚いていると、高梨先生の唇が重なった。






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