雨上がりの景色を夢見て
ご飯を食べ終わり、空になった食器を洗う。運転して帰ると言うこともあり、高梨先生にコーヒーを入れた。

「ありがとう。コーヒー飲んだら、今日は帰るよ」

今の時刻は22時近く。遅くまで引き留めてしまって、申し訳ない気持ちと、一緒にいられて嬉しかった気持ちが入り混じる。

コーヒーを飲む高梨先生の姿を見ながら、私もお気に入りのハーブティーを飲む。

「…そういえば、お願いって…」

思い出して尋ねると、高梨先生は

「そうだった」

と言って、もう1度コーヒーを一口飲むと、穏やかな目で、私の目をまっすぐ見てしばらく考え込んだ。

「…んー…やっぱりまた今度にするよ」

えっ…。

私がきょとんとしていると、先生は優しく微笑んで、私の頭を撫でる。

「お願いとは別で、雛ちゃん、明日ドライブデート行こう」

「えっ…ドライブデート…?」

「明日の朝、8時くらいに迎えにくるよ。行きたいところ考えておいて」

高梨先生は、私の頭にもう一度ポンポンっと優しく触れると、立ち上がった。

「そろそろ帰ろうかな」







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