雨上がりの景色を夢見て
流れで、連絡先を交換してしまったけれど、本当によかったのだろうか。

きっと、修二くんは私に気を遣ってしまうと思う。優しい修二くんのことだから、意識的に、貴史の話を避けてくれると思う。

もう大丈夫。

そう言えたら、どんなに楽だろう。

「先生、会計無事に終わったので、帰ります」

上田くんの手前、あえて私を〝先生〟と呼ぶ修二くんの言葉に、慣れない照れのようなものが湧き上がってくる。

「上田くん、お大事に。…お兄さんも、ありがとうございました」

私の言葉に、修二くんはにっこり笑った。








学校に一度戻り、管理職や顧問の高梨先生に上田くんの状況を説明してから、マンションに戻った。どっと疲労感が押し寄せてきて、私はソファーに倒れ込んだ。

この疲労感は、上田くんの怪我でバタバタしたからだけではなく、修二くんと再会したという、予想外の出来事からくるものも含まれている。

都合よく、明日は土曜日で仕事は休み。

ゆっくり休もう…。

重い体を起き上がらせて、いつもの半分以下の速さでゆっくりと服を脱ぎ、浴室へ向かった。



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