雨上がりの景色を夢見て
第10章 2つの願い
いつもよりも早めに目が覚めた。お化粧をして、髪の毛をコテで巻いた。前に夏奈さんがくれた蝶々のピンが目に入り、上の方で小さなお団子を作って、さりげなく数個つけた。

よく考えてみると、私自身は全然こういったおしゃれな髪飾りを持っていない。

夏奈さん、どこで買ってるのか今度聞いてみよう。何かの時に買いに行こうかな、と思いながら持っていく鞄の中身を確認した。











「お待たせ」

着いたというメールが届き、下に降りると、マンションの前に高梨先生の車が止まっていた。

「さっき支度が終わったところで、ちょうどよかったの」

そう言いながら助手席に座ると、高梨先生が私の髪型を見て、

「似合うね、お団子」

と、ひとこと言った。

「…ありがとうございます」

ストレートに言われて、気恥ずかしくなりそう答えてシートベルトをはめる。

「すっかり敬語に戻っちゃったね。じゃ、行こうか」

ナビをスタートさせて車を走らせる高梨先生。チラッと運転する姿を見る。

いまだに隣で運転する高梨先生の姿に慣れなくて、緊張してしまう。

綺麗な横顔も、性格も、出ている雰囲気も全てにおいて、揃いすぎているとあらためて思う。

こんなに完璧な人と私が、特別な関係にあることに、非現実的な気がする時がある。

「流石に、そんなに見られると恥ずかしくなる」

「あっ、ご、ごめん…つい」

「つい…?」

私の言葉の続きを引き出そうと、わざとらしく聞き返す高梨先生。

流石に今思っていたことを言葉にするのは恥ずかしすぎて、

「…秘密です」

と、だけ答える。





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