雨上がりの景色を夢見て
「着いたよ」

しばらく車を走らせて、山の中を走ると、急に開けた場所に出て、目の前は綺麗な砂浜の広がる絶景スポットにたどり着いた。

「綺麗…」

駐車場には半分くらい埋まるほどの車が止まっていて、そんなに混んでいるわけでもなく、過ごしやすそうだった。

シートベルトを外して、車を下りる。

「展望台と、砂浜どっち先に行く?」

高梨先生は、看板の地図を見ながら尋ねてきた。

私も隣で一緒に場所を確認する。展望台の近くにレストランがあるのを見つけて、時計を見た。

「展望台にのぼって、その後お昼食べるのはどうですか?それなら、帰りにゆっくり砂浜で過ごせるので…」

ちょうどお昼になろうとしていて、時間帯がちょうど良いと思った。

「いいね。そうしよう」

順路を示す立て看板のある階段を登っていく。段数は多そうだけれど、緩やかな坂道で歩きやすい。

「足痛くなったら教えてね」

「はい」

スニーカで来た方が良かったかなとも思ったけれど、ヒールの低いサンダルでも充分歩けそうで安心した。

木々に囲まれた道を歩いていると、葉の擦れる音や、鳥の鳴き声が聞こえてきて、心が安らぐ。

「あっ、リスだ」

隣を歩く高梨先生の言葉で、先生の指差す方を見る。










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