雨上がりの景色を夢見て
しばらく景色を眺めて、レストランで昼食をとった。私は海鮮パスタを、高梨先生は海鮮丼を食べてお腹が一杯になったところで、砂浜に来た。

「サラサラした砂…」

手ですくうと、指の間から、サーッと音を立てて落ちていく。

「サンダル脱いでも痛くなさそうだね」

高梨先生の言葉に頷き、私は片方ずつサンダルを脱いだ。

太陽の光で暖まった砂が気持ちいい。少し風が吹いていて、ジーンズできて良かったと思った。

裾をまくって、波打ち際まで移動する。わずかな海水が足に触れて、少しくすぐったい。

ふと、後ろを振り向いて高梨先生の姿を確認する。

「俺は、この辺に座って休んでるよ」

高梨先生は、少し離れた砂浜に腰を下ろして、さっきレストランで買ったテイクアウトのコーヒーを飲んでいた。

「はい」

少しだけいつもより大きい声で返事をして、海の方に向き直す。

潮の香りが、私の心を穏やかにする。少し海に向かって進むと、足首の辺りまで海水に浸かり、足全体が心地よい冷たさに包まれた。

それにしても、綺麗な砂浜。

足元に、白い小さな貝殻を見つけて、しゃがんで海水に手を入れて拾う。

手のひらに乗せてよく見ると、少しピンクがかっていた。周りを見ると、いくつか同じような貝殻が落ちていた。

菜子にお土産代わりに拾っていこうかしら。

ポケットからハンカチを出して、拾った貝殻を乗せていく。

5、6枚ほど見つけて、ハンカチに優しく包んで、カバンの中にしまった。





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