雨上がりの景色を夢見て
首に手を回してつけてあげようと思った時、雛ちゃんの手が、俺の手にそっと触れた。

「…一緒につけたら、贅沢すぎるから…」

そう言って、俺の手を止める雛ちゃん。少し残念に思ったけれど、雛ちゃんの気持ちもわかるような気がして、俺は手を引っ込めて、ネックレスを箱の中へと戻した。

「明日まで、付けてる姿はお預けかな」

俺の言葉に少し動揺した様子の雛ちゃんは、俺の目を見つめて、小さく頷いた。

職場に、俺からの贈り物を身につけてくる雛ちゃんがいることを想像すると、顔がかなりにやけてしまう。

紙袋に小さな箱をしまって、再び雛ちゃんに渡す。

そっと俺の手に雛ちゃんが触れた時、俺の腕をぐっと掴んで、雛ちゃんの上半身が近づいた。

唇が一瞬だけ重なり、すぐに離れる。

「…今意地悪な顔してましたよ…？」

そう言った、彼女を見て、俺は心の中で呟く。

そういうことを言うから、俺の独占欲がどんどん増すのに…。

雛ちゃんを見つめ、頰に手を当てて唇を親指でなぞる。

彼女の頬がさらに赤く染まり、緊張した眼差しで俺を見つめる。

「…っ…夏樹さん」

潤んだ瞳で、静かに俺の名前を呟く雛ちゃん。

「何？」

微笑む俺を見て、恥ずかしそうに口を開いた。

「好き」

その言葉で、俺の心は十分過ぎるくらい満たされる。

顎を少し押し上げて、今度は俺の方から唇を重ねる。時間をかけて、ゆっくりと気持ちを確かめるようなキス。







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