雨上がりの景色を夢見て
「…先生って、男らしいのね…」

シャワーを浴び終わって、乾燥機ですっかり乾いた服に着替えた彼女が、ソファーに座る俺の首に後ろから抱きついて、耳元でこっそり囁く。

「夏奈さんだからね。…意外だった?」

「すごい真面目な人だと思ってたから、そういうのあんまり興味ないものなのだとばかり…」

「それも、夏奈さんだからね」

微笑んで答えると、彼女はぎゅーっと腕に力を込めた。その仕草に、彼女の愛情を感じる。

「もう…そればっかり」

彼女の言葉に、ふっと笑みが溢れる。彼女の腕を掴んで、少しだけ振り向く。至近距離の彼女に優しく微笑んで、唇を重ねた。名残惜しむように唇を離すと、潤んだ瞳の彼女と目が合う。

「俺のこんな姿見れるのは、夏奈さんだけ」

ニコッと笑うと、夏奈さんは顔を真っ赤にして、両手を口で覆ったまま、頷いた。

「こうやって、甘い結婚生活を送るのもありだね」

「…もう…」

真っ赤な顔の彼女が可愛らしくて、立ち上がって頬にキスを落としてキッチンへ向かって通り過ぎる。

少し早い時間だけど、一杯飲みたくて、ワイングラスに赤ワインを少量注いだ。



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