雨上がりの景色を夢見て
「えー、知りたいのに…あっ、雛さんメッセージ見ました?」

そうだった。すっかり返信するのを忘れていた。

「う…ん」

「ぶはっ」

私の返事に、修二くんが思いっきり噴き出した。

「雛さん、俺なんかのメッセージにそんなに考えるほどの価値ないのに」

「そんなことないわ…」

〝俺なんかの〟という言葉がすごく胸に引っかかった。修二くんは、自分を下げるような、こんな言い方をする人だっただろうか。

「…何時にどこに行けばいい?」

「えっ?」

私がここで修二くんの誘いに乗ると思わなかったのだろう。私の言葉に戸惑いを見せた。

修二くんの様子が気になる。この小さな違和感は、見ないふりをしてはいけない気がした。

「いいんですか?」

「ええ。嫌なら、別の予定入れるわ」

予定なんて何にもないけれど、あまりこのやりとりを長くしたくなくて、そっけない態度をとってしまう。

「あーだめだめだめ。入れないで!えっと、18時半ごろにS駅で!お店はその時までに決めておきます」

「…ふふっ…了解」

慌てた様子の修二くんに思わず私は笑ってしまった。

「菜子、行こうか。また後でね修二くん」

私は菜子と手を繋いで自分の車へと向かった。


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