雨上がりの景色を夢見て
「……」

突然、先生の手を外そうとしていた手を止めた夏奈さん。表情は分からなかったけれど、高梨先生に少し顔を近づけた気がした。

そして、すぐに立ち上がって、夏奈さんはニコッと私に笑顔を向ける。

「…ちょっとだけ様子見ててあげて。大丈夫そうだったら私の部屋に来てね」

「えっ…手首は…?」

「大丈夫、そのうち力緩まるから」

そう言うと、夏奈さんは私にヒラヒラと手を振って部屋を出ると扉を閉めた。

「…そんな…」

しっかり掴まれた手首を見て、小さく息を吐き、後頭部を見つめる。

「夏樹さん、手離してください」

だけど、ちっとも離す気配はなくて、半ば諦めてベットに腰掛けた。

どうしたら解放してもらえるのかな…。

ふーっと息を吐いて、そっと手首を掴んでいる先生の手に、私のもう片方の手を添えた。

すると、もう片方の手がするりと私の腰に回ってきて、体制が崩れた。

あっという間に、同じベットで、後ろから高梨先生に抱きしめられて横になる形になった。

少しお酒の匂いのする高梨先生の腕の中、私はすぐに抜け出そうとすればできるはずなのに、そうしようとは思わなかった。

「俺の魅力って…何?」

えっ…

「起きてたの…?」

「んー…さっき雑に扱われてちょっとだけ目が覚めた…。それより…教えて?」

私の腰に回す腕に力が込められて、さらに身体が密着する。自分の心臓の鼓動が速くなるのが分かった。

「…夏樹さんの魅力は…」






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