雨上がりの景色を夢見て
するりと、私の服に手が入ってきて、直接腰回りを撫でる高梨先生。

「…雛が、その気にさせたんだよ」

そう胸元で呟かれて、先生の息が私の胸にかかる。

先生の腰への触れ方がいやらしくて、身体の力が抜けていく。

Tシャツを胸が露わにならないギリギリのところまで手際よく捲り上げられ、気がつくと、ベットに押し倒されていた。

そして、腰回りにそっと先生の唇が触れた瞬間、チクッとした痛みが走った。

少しずらしたところにも同じようにキスをして、強めに吸われる。

「…待って…」

「…大丈夫、キスしかしないよ」

そう答えて、再び私のお腹や腰回りにキスを落とす。

唇の感覚が肌に感じるたびに、微かに跳ねる自分の身体に羞恥心が湧き上がる。

「…やりすぎかもしれないけど…これが、俺の独占欲の現れ」

そう言って、高梨先生は、最後に胸のすぐ下に1番強く吸い付いた。同時にビリッとした強い痛みを感じて、私の体がビクッと反応した。

「…触れて良いのは、俺だけだよ」

切ない目で見つめた高梨先生は、キスを落としたところに一箇所ずつ指を触れていく。

「夏樹さん…っ」

「ん?」

「…私が、夏樹さんに触れてほしいと思っているんです。貴史との記憶は私の心の別の場所に置けるようになりました」

貴史のことは忘れられない。だけど、今目の前にいる高梨先生との時間も大切にしたいし、触れてほしいと思っている。

この先、私の身体に温もりを刻んでいくのは高梨先生しか考えられない。

そう思えてから、ちゃんと言葉にしてきただろうか。きっと曖昧なままだったから、先生が不安に感じたんだ。

「もう少し待っててほしいのは…貴史のことじゃなくて、私自身の覚悟の問題です」

多分、高梨先生は少し勘違いをしている気がする。

「その…初めてじゃないけど、まだ…2回目だから…」




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