雨上がりの景色を夢見て
「…そうなの…?」

私を見下ろす高梨先生に頷くと、私の腕をグイッと引っ張って起き上がらせてくれた。

「ごめん…俺てっきり、貴史くんとはそれなりに…って思ってた」

私の頭を申し訳なさそうに、優しく撫でてくる高梨先生。

「…私達、結構、健全な付き合いだったと思います」

「そっか…。じゃあ…刺激強すぎたよな…」

もう1度、頷くと、今度は両手で私の両耳に髪の毛をそれぞれかけて、優しく頬を包み込んだ。

「待ってるよ」

優しい眼差しで見つめられて、私は熱を帯びるのを感じながら、頷いて、先生の手首に、そっと手を添えた。









その後、先生はお風呂に入って寝るから、と言ったので、私は夏奈さんの待つ寝室へと向かった。

部屋の扉を開けると、雑誌をベットの上で読んでいる夏奈さんの姿が目に入った。

「意外と早かったわね。夏樹と話せた?」

「はい。夏奈さん、夏樹さんが起きてたの気がついたんですね」

私の言葉に答える代わりに、夏奈さんはふふふと笑って、私に手招きをした。

「水着の特集載ってるの。一緒に見ましょう。今ちょうど夏物売り尽くしセールしてると思うから、明日買いにいきましょう?」

夏奈さんは、ご機嫌でそう言うと、私に雑誌を見せてくれた。


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