雨上がりの景色を夢見て
変な夢って…一体何を見たんだ?

雛のお母さんは、このことを知っているのだろうか。

我慢強い彼女だから、もしかしたら、負担になりたくないと思い、その事は内緒にしていたのかもしれない。

動揺するほど、涙を流すほどの出来事って…。

一瞬、俺の頭の中を過ぎったのは、ごく稀に、生徒指導で発覚する家庭内の問題。

DV?虐待?

雛のお母さんは、そういう人には見えない。仁さんだってそう。

考えられるのは、雛の実の父親との関係。

まだ確証のない、もしもの話に、自分の心拍数が一気に上がった。

冷静を取り戻そうと、サンドイッチを食べて、熱々のコーヒーを飲む。

思い出したくない過去なのかもしれないし、俺が安易に関わっていい問題なのか…。

でも…。

頭に浮かぶ、夜中の動揺して、怯えたような彼女の表情。そして、ボロボロと流した涙。

その光景が頭から離れず、どうにかしてあげたいと強く思ってしまう。

昨日の今日で、もう一度会いに行ってもいいものだろうか…。

専業主婦と聞いていた、彼女のお母さんだけがいる時間帯は、平日の日中のみ。

俺は、スマホを手にとって、昨日教えてもらった電話番号を押した。


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