雨上がりの景色を夢見て
「ラムレーズンと塩バニラとストロベリーチーズケーキどれがいい?」

「塩バニラ食べてもいいですか?」

冷凍室を開けて私に尋ねる高梨先生に、私は即答する。

「もちろん」

私は、高梨先生からアイスとスプーンを受け取る。

「塩バニラ好きなの?」

「食べた事ないんですが、前に美味しいって聞いて」

「…誰に?」

あっ…

高梨先生の聞き返した言葉に返答しようとして、私は思わずアイスの蓋を開ける手を止めた。

修二くんと行ったと知ったら嫌なんじゃないかな。だって、その頃はもう付き合ってた。

「…食べよっか」

にこっと笑った高梨先生だけど、あきらかに気になっている様子。

気まずさの残る中、私は蓋を開けて、スプーンをアイスですくって口に入れる。

じわっと口の中で溶けたアイスの後味がとてもよく、思わずもう一口続けて食べる。

「美味しいんだ?」

私を見て、ふっと笑った高梨先生。その笑顔に少しほっとした。

「夏樹さんも、食べますか?」

「そうしようかな」

私がスプーンですくって、高梨先生の前に差し出すと、先生はきょとんと私を見る。

不思議に思っていると、

「食べさせてくれるの?」

と聞かれて、私の体温が急上昇した。

無意識だった。何も考えず、自然と身体が動いていた。

「…間違えました…」

手を引っ込めようとした時、私の手首を軽く掴んで、高梨先生はスプーンの上のアイスをパクッと口に入れた。

「確かに、これは美味い」





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