雨上がりの景色を夢見て
口の周りについたアイスをぺろっと舐める高梨先生は男性なのに色気がある。

私は鼓動の音を誤魔化すかのように、慌ててアイスを口に入れた。

「こっちのアイスも食べる?」

ラムレーズンのアイスをスプーンですくった高梨先生は、私の口元にスプーンを持ってきた。

恥ずかしさで、顔が熱を帯びているのが分かったけれど、にこやかに私を見る高梨先生を見て、私は答える。

「…いただきます」

パクッと食べると、ほのかにお酒の香りが口の中に広がって、アイスの冷たさが、私の熱を帯びた身体を冷やしていく。

「いいね、こういうの」

だけど、ぼそっと呟いた声が聞こえて、再び身体が熱くなった。

高梨先生を見ると、ふっと笑って、アイスを食べ進める。

私も、溶けないうちに、とアイスをスプーンですくった。

「…詮索しないって思ってたけど…1つ確認させて?」

空になったアイスのカップとスプーンをテーブルに置き、真面目なトーンで尋ねた高梨先生。

私は背筋を伸ばして、高梨先生を見る。

「上田のお兄さんとは仲良しなの?」

えっ…修二くん…?
先生、ジェラート屋に一緒に行ったのが修二くんだって気が付いてたんだ…。




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