雨上がりの景色を夢見て
「中川先生、無理しないでね。お先に失礼します」

「はい。お疲れ様でした」

春らしいピンク色のロングスカートと白いブラウスを着た坂本先生の後ろ姿を見ながら、春休み中に行われた坂本先生の結婚式を思い出した。

スタイルも良く、可愛らしい坂本先生のウェディングドレス姿は、モデルさんかと思うくらいとても素敵で、華やかだった。

美しすぎて、新郎側の男性だけではなく女性もため息がでたことが、こちらにも伝わってきたほどだった。

とても綺麗で見惚れたことを坂本先生に伝えると、

『ありがとう。でもね、絶対中川先生の方が華があるから。結婚式、絶対呼んでくださいね。先生のウェディングドレス姿見逃すことなんてできないわ』

と最後は力強く言われてしまった。

結婚の予定なんて全くもって、ない。お付き合いしている人すらいない。

そもそも、私はこの先誰かと付き合うということがあるのだろうか。






「坂本先生、幸せオーラ溢れ出てましたね」

向かいの席から声が聞こえて、顔を上げると、にっこり笑う高梨先生と目が合った。

「幸せそうでしたね」

そう答えると、高梨先生はさらに優しい笑顔で「ええ」と言った。

高梨先生は私のちょうど10個上の36歳。昨年、私が初任校からこの高校に異動してきた時に同じタイミングでこの高校に来た。そして保健室の常連でもある清水さんと近藤さんの担任でもあるため、共通の話題となり、よく話しをする。





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