雨上がりの景色を夢見て
まだ外が暗い中、目が覚めた俺は、腕の中で気持ちよさそうに眠る雛の姿を見つめる。

時計を見ると、早朝の4時過ぎ。

お互いに、何も着ていないため、雛の肌の感触が直に伝わり、また俺の気持ちが止まらなくなってしまいそうで、心配になる。

早すぎるけど…起きるか。

そっとベットから起き上がり、出しっぱなしのゴムを引き出しにしまい、口の開いた包装をゴミ箱に捨てた。

シャワーを浴びながら、昨夜の行為を思い出す。

俺の指の動き1つ1つに敏感に反応する彼女が愛おしく、俺だけのものにしたいという気持ちを掻き立てた。

いい歳して、何やってんだ…。

「…痛がらなくて、良かった…」

それは、心の底から本当に良かったと思えた。つらい思いをさせたくなかったから。

ちょっとにやけた表情を引き締めて、俺はシャワーを頭からかけた。











彼女がシャワーを浴びている間に、テーブルに朝食を並べる。

昨日、病院で食生活について指摘され、帰りに買ってきた食材を使って作った。

リビングに戻ってきた雛は、少し気まずそうに俺の近くまで歩み寄る。

おそらく昨日のことを意識しているからだろう。

「食べよう」

「はい。…えっ、これ全部夏樹さんが?」

驚く彼女の反応に、俺は嬉しくなり、得意気に返事をする。

「雛の体調が万全になるようにね」

「すごい…」

そう言って、俺の向かい側に座った彼女は、美しい姿勢で手を合わせた。

雛の姿勢はいつ見ても綺麗だ。ご飯の食べ方のマナーもしっかり身についているのがすぐにわかった。

「おいしい…」

嬉しそうに料理を口に運ぶ姿に、俺の気持ちは十分満たされた。



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