雨上がりの景色を夢見て
「今日は、どう過ごす予定?」

食後のコーヒーを飲みながら、向かい側に座る雛に尋ねる。

「夏樹さんは…?」

自分のことより、俺のことを気にかける雛に、俺は微笑んで答える。

「俺は、今日は部活休みだから、特に予定はないよ?」

「私も、特に何もなくて。今日はダラダラ家で過ごそうかなって、昨日は考えてました…」

苦笑いでそう答えた雛は、コーヒを飲み、部屋の中を見渡した。

「昨日から気になってはいたのですが、少し、整理したんですね。夏奈さんの引っ越しの準備ですか?」

「うん。大きい家具は持っていく必要はないけど、小物は、夏奈のものが多かったからね」

「…寂しいですか?」

遠慮気味に聞いてきた雛の言葉に、俺は一瞬ドキリとした。

さすが、鋭い質問。

「まぁ…ずっと一緒にいたからね。だけど、夏奈が新しい家庭を築いて幸せになれるのが、すごく嬉しい。本人を前にしては言えないけどね」

冗談めかして言うと、雛は優しく微笑んだ。
雛の笑顔は、俺の気持ちを、いつでも満たしてくれる。

俺も微笑み返して、コーヒーを口に運んだ。

さて、話はまとまっていないけど、今日はどうやって過ごそう。

雛と2人で、まったりと家の中で過ごすのもありなのかなと思い、雛の顔を見た。



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