雨上がりの景色を夢見て
第16章 将来のこと
「わぁ、雪降ってきた」

「初雪だ」

保健室に来ていた清水さんと近藤さんが、窓越しにチラチラと降ってきた白い雪を見ながらつぶやいた。

12月上旬。

すっかり冷たくなった空気が、吐く息を真っ白にする季節になった。

「もう、クリスマスの季節かぁ…亜紀は佐々木くんと?」

「うん、一緒にいられるのもあと少しだからね」

口調は明るいけれど、近藤さんの表情は寂しそう。

「先生は?恋人と過ごすんですか?」

「何言ってるの。毎年家族と過ごしてるわ」

内心ドキッとしたけれど、去年の家族と過ごした光景を思い出して、さらっと答える。

「そっかあ。あっ、雪強くなってきたから、そろそろ帰ろう?」

清水さんは、窓の外を見ると、近藤さんに声をかける。

「本当だ。先生、あったかいお茶ごちそうさまでした」

近藤さんがにこにこ笑顔で言うと、清水さんもマフラーを巻きながら立ち上がった。

「せっかく温まったのに、また寒い中歩くのかぁ…」

近藤さんの気持ちはよく分かる。

「風邪ひかないようにね」

「「はーい」」

保健室から出ていく2人の姿を見送り、椅子に座って、窓の外を見る。

チラついていただけの雪は、いつの間にか真っ白に見えるくらい大量に降ってきていた。

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