雨上がりの景色を夢見て
『クリスマスイブ、ホテルのディナーの予約とったから、空けておいて』

昨日、夜ご飯を食べている時に、スマホでホテルのサイトを私に見せた高梨先生。

私の頭からは、すっかりクリスマスのことが抜けていて、まさかちゃんと計画を立てていたなんて思ってもいなかった。

『もしかして、家族と予定入ってた?』

驚きで、返事が遅れたことを心配して、先生が私の顔を覗き込む。

『ううん。家族とは25日に約束してたから大丈夫』

私の返事に、ほっとした表情を見せた高梨先生に、私は、

『ありがとう』

と、目を見つめて伝えた。







先生と同棲を始めて、2ヶ月が経った。異動のことも、高梨先生と相談して、私が異動願いを出すことに決めた。

同棲を始める前に、校長先生には私たちのことを伝え、3月に入籍をすること、来年度は私が異動して、職場が別になるように希望を伝えた。

厳しい反応を覚悟していたけれど、校長先生は驚いた後はずっと嬉しそうに微笑んでいた。

話が終わった後、

『私も、職場結婚だったんですよ。妻は年下で。昔を思い出しました』

と、懐かしそうに教えてくれた校長先生。

私と高梨先生は、顔を見合わせて微笑んだ。




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