雨上がりの景色を夢見て
窓に映った、自分の胸元に光るネックレスを見つめる。

月日が経つにつれて、高梨先生と結婚する実感が芽生えてくる。

パソコンに向かい直して、残りの仕事に取り掛かった。











終わった…

パソコンを閉じて、席を立つ。戸締りを確認して、エアコンの電源を切った。

開けられた扉から見える廊下は、すっかり暗くなっていて、時折、風が窓ガラスをカタカタと揺らす。

いつものように、ポケットからスマホを取り出そうと手を入れる。

あれ…?

あっ…お昼過ぎに、一度職員室に戻ったときに、机の上に置いてきたんだ…。

いつもは、スマホのライトで足元を照らして職員室まで戻っているのに…。

ゴソゴソと、保健室の棚をあさって、懐中電灯を探す。

あった…でも、電池がない…。

いっそのこと、廊下の電気をつけながら進み、職員室に行ったら、携帯を持って、電気を消して回った方がいい気がする。

耐えられるのであれば、我慢して早歩きで行った方が早いとは思うけど…自信がない。

小さく息を吐き、使い物にならなかった懐中電灯を棚に戻した。

荷物を持ち、保健室の電気に手をかけた時、

「中川先生」

後ろから、よく知る人物の声が聞こえて、一瞬身体がビクッと反応した。



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