雨上がりの景色を夢見て
柔らかくて味の染み込んだお肉は、卵にくぐらせて食べると、あっという間に口の中で溶けていく。

「お肉、すごく美味しい…」

思わず声に出していて、その言葉に仁さんが嬉しそうに口を開いた。

「取引先から頂いてね。お礼の電話を掛けたら、自信を持ってお勧めできるお肉だからって話していて。やっぱり違いがすぐに分かるものなんだね」

仁さんも、卵をたっぷりつけて、お肉を口に運ぶ。

「お義父さんの会社はどういったお仕事なんですか？」

珍しく、高梨先生が仁さんの会社に興味を持ち、話題をふる。

「家具やキッチン用品、日用品の企画営業と、商品の海外への受注をしているんだよ。昔は企画部にいたり、営業で歩き回っていたけれども、今はすっかりオフィス内でのデスクワークになってしまってね。それでも、付き合いの長い取引先の方からよくしてもらってるよ」

ほろ酔いの仁さんは、嬉しそうに自分の話を高梨先生にする。

「そう言う話聞くのはとても新鮮です。学校とは全く違う働き方だと思うので」

高梨先生も興味津々に、仁さんの言葉に耳を傾ける。

お酒の入った2人の会話は弾み、帰るギリギリまで続いた。







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