雨上がりの景色を夢見て
気づくと、先生の手が私の腰に回されていて、服の上からだけど、手の温かさが体に伝わる。

「夏樹さん…?」

「大丈夫、変なことはしないから」

そう言いながらもう、回した腕に力を入れて、私の身体をグッと寄せる。

頭の上に、先生の口が触れるのが分かって、私の体温が急上昇していく。

「…触り心地、よくなったよね」

「えっ…太ったってことですか…?」

ドキッとして、思わず先生の顔を見上げる。

「あっ、いや、そうじゃなくて。健康的な身体になったなってこと。今でもまだ、痩せすぎだと思うけどね」

先生は、慌てて説明を付け加えて、私の誤解を解こうとした。

「ちゃんと、それなりの量を食べるようになったからだと思います」

確かに、今まで緩めだったスカートやパンツがぴったりになったとは感じていた。これ以上太ってしまうと、ワンサイズ上になってしまうから、気をつけよう。

栄養が行き渡ればいいのだから、私もジムに通って消化すれば、体型が変わらなくても健康的な身体を維持できるのでは、と思った。

「…夏樹さんの通ってるジム、私も行っていいですか?」

一瞬驚いた表情をした高梨先生だけど、すぐに嬉しそうに微笑み、

「明日の午後一緒に行く?」

と、誘ってくれた。

私はすぐに頷き、服装や、持ち物について色々と話を聞いた。

よく考えたら、運動する時に着る服を持っていないから、明日の午前中、先生が部活指導に行っている間に買ってこようかな。

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