雨上がりの景色を夢見て
「おやすみなさい」

「おやすみ」

部屋の前でお互いそう言って、自分の部屋に入るのがいつもの流れ。

だけど、今日は違った。

部屋に入ろうとした私の両肩を後ろから掴み、振り返り掛けた私の身体をふわっとお姫様抱っこのように抱きかかえた高梨先生。

「えっ…お、下ろして!」

恥ずかしくて抵抗した私だけど、筋肉質な先生の身体はびくともしない。

ベットにバサっと乗せられて、私の身体を膝立ちで跨ぎ、上から見下ろす高梨先生。

実は、同じベッドで身体を重ねる行為は、初めて、先生と身体を重ねて以来していなかった。

もちろんソファーで甘い雰囲気になったことはあったけれど、私の生理が重なったり、部活の試合が入っていたりと、タイミングをうまく掴めなかったのだ。

「…今日はいい?」

私の髪の毛に指を通して掬い上げると、先生の口元へと持っていく。

その仕草が、私の心拍数を多くする。

「はい…。でも、明日早いんじゃ…」

「んー…でも、雛を抱きたい」

〝抱きたい〟とストレートに言われて、私の顔が熱を帯びる。

先生は、私の返事を聞く前に、私の服の中に手を入れてきた。肌に触れるたびに、私の体がゾクゾクとしてくる。

「でも、雛が嫌なら、止める」

本当は、私の気持ちもお見通しだと思うのに、あえて私に答えを求める先生。





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