雨上がりの景色を夢見て
「夏樹さん…意地悪ですよね」

「…そうだね。でも、俺の魅力でもあるんだよね?」

その言葉に、以前高梨先生が酔っ払った時のやりとりが頭をよぎる。

そうだった…。

「雛が言ったんだよ?」

私の表情を見て、高梨先生はニコッと微笑む。だけど、その笑顔には意地悪な気持ちが隠れているのが分かった。

だけど、やっぱり、意地悪な高梨先生に、胸がドキドキするのは、先生の魅力だから。

真っ直ぐと、先生の目を見つめる。交わる視線はどこにもそらすことができない。

「…それ、無意識?」

「えっ?」

苦笑いで、先生は私の頬に、手を伸ばす。触れ方が優しすぎて、先生をこれ以上見ていると、ドキドキしすぎてしまいそうになり、ぎゅっと目を瞑る。

「…もうさ、全部可愛いんだよ、雛は」

えっ…

目を開けるのと同時に、首筋に先生の顔が埋まり、髪の毛があたってくすぐったくなる。

首筋に軽いキスを落とすと、そのまま耳元で先生の声が聞こえた。

「…可愛すぎて、素直すぎて、こういう時くらい意地悪したくなる…」

先生の甘い言葉と、吐息が耳にかかり、身体の中からゾワゾワした快感が込み上げる。耳たぶを甘噛みされて、背中がのけぞると、先生はさらに意地悪な表情で笑った。











「…やっぱり、このままの触り心地がいいな…」

腕枕をしながら、掛け布団の中で私の腰回りを撫で回す高梨先生。

すっかり穏やかな口調に戻った先生は、名残惜しそうに私に話した。

「…でも、服のサイズ変わっちゃうと困るので…」

「サイズ変わったら、一緒に服買いに行こうよ…」

先生は、甘えた口調でそう言うと、私の腰のお肉を優しく摘む。

「…鍛えちゃう?」

「はい」

さっきの意地悪な先生は一体どこへ行ってしまったにだろう。今の先生は子犬のようにしょんぼりしている。
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