雨上がりの景色を夢見て
メッセージは他の高校に勤める同期の養護教諭の先生からで、仕事の連絡だった。

「返さなくて平気ですか?」

そう言った修二くんの表情からは、さっきの苦しそうな雰囲気は感じられなかった。

「うん、後で大丈夫」

スマホを再びカバンにしまい、少しだけ残っているビールを飲み干した。そんな私を、真面目な表情で見つめる修二くんに気がつき、私の動きが止まる。

「雛さん、俺のお願い聞いてくれませんか?」

お願い…?

「内容によると思うけど」

用件がわからないままでは、返事はできない。

真面目な表情だった修二くんが、悪戯っぽく笑った。

「やっぱり、引っ掛からなかった…用件言ったら、9割は断られそうなので、賭けに出たんですが」

そう言って修二くんは、苦笑いをした。

9割断られる可能性があるお願いって、一体どんなものなのだろう。

「…まあ、…ダメもとで」


そう言って、修二くんは再び真面目な顔で、私の目をじっと見つめて、ゆっくりと口を開いた。

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