雨上がりの景色を夢見て
修二くんの視線から目を背けて、手元のお絞りで、手を拭く。
誰かと一緒に、貴史のお墓参りに行くことは出来ない。
毎年、命日と、お盆のお墓参りで、そっと手を合わせて、心の中で貴史に話しかけている。
それは、たった1人だから、自分の本心を貴史にさらけ出すことが出来ているのであって、他の人の前では出来ない。
「俺…実は、貴史くんのお墓参り、一度もまだ行ってないんです…」
えっ…
修二くんの言葉は予想外だった。けれど、お葬式の日の修二くんの姿を思い出すと、修二くんの心の中での葛藤が少しだけ分かる気がする。
「…そう」
私は、一言呟いて、まだ箸をつけていないシーザーサラダを、2人分の小皿に取り分けた。
「…俺…ずるいんです。高校の時は、テニスに打ち込んで、現実から目を背けてた。大学も、あえてテニスが強い地方の遠い所を選んで、距離の遠さを理由に帰ってこなかった。就職して大阪支店勤務になった時も、正直、理由ができてほっとした」
目の前に、私が置いたシーザーサラダをじっと見つめて、修二くんは思いを打ち明けてくれた。
誰かと一緒に、貴史のお墓参りに行くことは出来ない。
毎年、命日と、お盆のお墓参りで、そっと手を合わせて、心の中で貴史に話しかけている。
それは、たった1人だから、自分の本心を貴史にさらけ出すことが出来ているのであって、他の人の前では出来ない。
「俺…実は、貴史くんのお墓参り、一度もまだ行ってないんです…」
えっ…
修二くんの言葉は予想外だった。けれど、お葬式の日の修二くんの姿を思い出すと、修二くんの心の中での葛藤が少しだけ分かる気がする。
「…そう」
私は、一言呟いて、まだ箸をつけていないシーザーサラダを、2人分の小皿に取り分けた。
「…俺…ずるいんです。高校の時は、テニスに打ち込んで、現実から目を背けてた。大学も、あえてテニスが強い地方の遠い所を選んで、距離の遠さを理由に帰ってこなかった。就職して大阪支店勤務になった時も、正直、理由ができてほっとした」
目の前に、私が置いたシーザーサラダをじっと見つめて、修二くんは思いを打ち明けてくれた。