雨上がりの景色を夢見て

side 高梨兄妹

雛がお風呂に入っている間に、お湯を沸かして、2人分のラーメンを作る準備をしながら、今日の出来事を振り返る。

久々に、夏奈と共通の友人たちに会って、同窓会気分になってしまって、話に夢中になってしまっていた。

『夏樹くん、ちょっと』

藤永先生に、遠慮気味に手招きされて、俺はその場を離れて、藤永先生のところへ近づく。

『雛ちゃんが、体調崩したらしくて、このまま橘病院に、ここにいる津川先生の車で運ぶって』

えっ…

『雛、今どこにいますか?』

なんで、もっと気にかけなかったんだよ。

自分自身に怒りと悔しさが湧き上がってきて、自分の拳にぎゅっと力を入れる。

津川先生に連れられて、スタッフルームに行くと、顔色の悪い雛が、ソファーに横になっていた。

ドレスの上から、津川先生のものと思われるスーツの上着がかけられていた。

『裏口に、車を回してきます』

『お願いします』

俺は、車のエンジン音が、裏口から聞こえたタイミングで、雛を抱き上げて、車へと乗せた。

『…中川さんは、貧血等お持ちですか?』

『…はい。3ヶ月ほど前にも倒れてて…。昔からあったようです』

雛、もしかして、自分の結婚式のことで、考え事しすぎて疲れてたんじゃ…。

ぐったりとしている雛のことが心配で、俺の動揺は隠し切れないほどになっていた。








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