雨上がりの景色を夢見て
少しだけ震える声の雛の瞳は、少し不安そうだった。

だけど、目を逸らさない雛からは、強い意志が伝わってきて、俺はそれに応えるように、優しく微笑んで、雛の頭に手を伸ばした。

「もちろん。離れたいって言っても、俺が離さないよ」

ポンポンっと頭を撫でると、小さくほっと息を吐いた雛。ほんの少しだけ、嬉しそうな笑顔を見せてくれた。

「ラーメン、伸びちゃうから、食べよ?」

「はい」

しばらく、お互いのラーメンを啜る音だけがリビングに響いた。



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