雨上がりの景色を夢見て
「でも、向き合わない限りは、頭の片隅に、常にずっとあって…だんだん苦しくなってきたんです…」

そう言って顔を上げた修二くんは、苦しさに押しつぶされそうな、辛そうな表情をしていて、私の胸がぎゅっと締め付けられた。

「…雛さんに会って…、会えた時は素直に嬉しかった。でも…雛さんがいてくれるなら貴史くんに会いに行けるかもって…。貴史さんにとって大切な人を俺は今、利用しようとしてるんです…。ずるくて、歪んでいるんです」

「…ずるくも、歪んでもいないわよ…」

修二くんが話終わってすぐに、私は言い切った。

「…きっかけが見つかったのなら、それでいいじゃない…」

だって、修二くんが大切な人を失ったあの日から、苦しみと向き合ってきたのは事実だから。

苦しみと共に、この日まで生きてきた。

そんな人が、ずるいわけないない。ましてや、歪んでいるはずない。

ずるいのは、私。

家族だけでなく、修二くんからも貴史を奪ったのだから。

責められても、罵られてもおかしくないのに、修二くんは一度も、私にそんな態度を取らない。

周りの気遣いに甘えているのは、私だ。





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