雨上がりの景色を夢見て
雛ちゃんは、あんなに華奢な体で、色々な事を1人で抱え込みすぎていたのだと思う。

この前、雛ちゃんが実家に用事があって帰った時に、夏樹と2人で久々に話した。

その時に、夏樹が真剣な表情で、私に話した内容を思い出した。

『俺、たまに出張や、部活の合宿で居なくなるから、もしその時、雛に何かあった時は、夏奈にお願いしたい』

そう前置きをした夏樹は、私の目を見て、いつもより少し低いトーンで言葉を続けた。

『雛、暗いところが苦手なんだ。それも閉ざされた空間の』

えっ…

『知らなかった…。でも、どうして？』

聞き返すと、夏樹は言いにくそうに口籠った後、ゆっくりと説明してくれた。

話を聞いて、私はショックだった。私の想像している父親像と全く違かったから。

私の心臓の鼓動が速くなる。

壮絶な幼少期を過ごしていた雛ちゃん。そんな雛ちゃんがやっと出会えた貴史くんという素敵な恋人。でも、その恋人を目の前で失い、自分を責め続けた。

雛ちゃんの26年間は、苦しみを背負い続けたものだったんじゃないかと考えると、私の胸が押しつぶされそうになった。

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