雨上がりの景色を夢見て
「…津川先生なら…安心できるのよね?」

もう一度、念を押すように、藤永先生に訪尋ねる。

私の心境を察したのか、藤永先生は、まっすぐと私の目を見て、しっかりと頷いた。

「…俺からも、頼んでおくよ」

ふっと優しく微笑む藤永先生に、私の心配が少しだけ和らぐ。

「…うん。ありがとう」

先生の温かい腕の中で、私は幸せを感じながらも、雛ちゃんのことが頭から離れない。

雛ちゃんのことが大好きで仕方ない夏樹にとって、雛ちゃんの病気のことは衝撃的だったと思う。

後で、夏樹に電話してみよう…。

藤永先生の、規則正しい寝息と共に、わたしの睡魔が押し寄せてきて、ゆっくりと夢の中へと吸い込まれていった。






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